「背守り刺繍」はご存じですか?
古くは鎌倉時代から行われていた伝統的な刺繍で、
全国各地に地域の名前で根付きた「背守り刺繍」。
今回はそのレッスンを妊婦さんや小さなお子様がいるママさんにされている田畑智絵先生にお話を伺いました。
■背守り刺繍とは何ですか?
子供の肌着の首元に刺繍糸で母親が縁起のいい柄を縫い付けてお守り代わりにしてあげるものをいいます。
古来より悪霊は背中から忍び寄るといわれていますが、大人の着物は背中心があり、その背中心が「目」の役割をし、悪霊払いをしてくれているといわれています。
しかし、子供の着物は背中心がないので、悪霊に取りつかれやすく、悪霊に取りつかれると黄泉の国へ連れていかれてしまうといういわれがあり、母親が子供を悪霊から守るため、背中心代わりの「目」を付けるという意味で背中に刺繍を縫い付けたことが始まりといわれています。
それは現代ほど医療が発達していなかった日本で、平均寿命が28歳といわれていた時代、子供は3歳までに3人に1人は分娩時や新生児、3歳までに亡くなってしまうという事実があったので、母親が子供の健康を祈り縁起物、お守り代わりとして心を込めて縫い付けていたものになります。
基本の縫い方が男女それぞれありますが、時代が進むにつれて縁起物を図案化し、それを背中につけてあげることで子供の成長を祈るといった意味合いも込められています。
■どんな図柄がありますか?
たくさんの図柄があります。
例えば鬼滅の刃でも人気の「麻の葉」柄には丈夫でまっすぐ育つ「麻」を見立て、
「すくすくとまっすぐに成長しますように」、という意味合いがあります。
他にも独楽(こま)には人生がうまく回りますようにという意味や、蜻蛉(とんぼ)にはとんぼ前にしか進まないので「前に進め!」や「勝負ごとに勝ちますように」という意味合いがあります。ほかにもかわいらしい図柄はたくさんありますよ。
■レッスンを始めたきっかけはなんですか?
最初は自分が行っていたカフェでのワークショップがきっかけでした。「背守り刺繍」自体はあまり知らなくて、ただおしゃべりをしながら子供への思いを縫いながら、日々の不安を話したり、楽しいことを口に出したりと刺繍する時間にとても癒され、ぜひ知ってもらいたいと思い同様のレッスンを始めました。
1つの柄にもたくさんの意味が込められていて、その思いを自分の子供に重ねながら縫い付ける時間はとても幸せで、手芸が本当に得意ではない自分でも簡単にできることもうれしい時間だなと思い続けています。
またこの「背守り刺繍」はママにとってのお守りというわけではなく、子供にとってもママに見守ってもらえているという意味合いもあります。
市販のお洋服が自分にとって「特別」なものとなり、離れていてもママの存在を感じられるものとなりお気に入りの柄は「今日はトンボ着る!」と言って1日ご機嫌でいてくれたりすることもあります。
ママのリフレッシュタイムとともに、子供との時間をより濃密にできる機会になればと思いレッスンをさせてもらっています。
■今伝えたい「背守り刺繍」への想いはありますか?
現代の医療では昔のような死亡率が高いことなどはないのでお守りの意味合いというよりも、ファッション的な部分も占めてくるのかもしれません。
ただ大人が子供の成長を祈ることや、大きな病気をしないでほしい、けがをしてほしくないという思いはいつの時代も変わらないと思うので、そういった思いを込めて形にしていくということはとても素敵なことだと思います。
そして何より、このコロナの影響もありより引きこもりがちな妊婦さんや小さなお子様を抱えたママたちの気分転換として手芸な苦手な方でも取り組める「背守り刺繍」が共通の話題としてのコミュニケーションツールとして広まっていくといいなと思います。
今回お話を伺った田畑智絵先生は愛知県ご出身でご結婚をされ現在は鹿児島県にてお住まいです。もともといた地域ではないところで新たなコミュニティーを見つけることがとても大変だったという経験をお持ちで、同じような思いをされているママたちの手助けになればと、
子供英会話レッスンやアロマのレッスンを気軽に体験できる教室をされています。
ハンドメイドなんて自分には無理という方にも気軽に参加できる「背守り刺繍」。
ぜひこちらを見て初めて知った方も簡単に挑戦できるので一度お子様のお洋服に彩を加えてみてはいかがでしょうか?
■田畑智絵先生
愛知県出身。
京都、大阪、福岡を経て現在は鹿児島県にて男の子二人のママ。
アロマセラピストとしてアロマスプレーのワークショップやキッズマッサージの講座を行いつつ、Baby-Kids English、背守り刺繍のワークショップを不定期に開催中。
新年1/17には大人の背守り刺繍ワークショップ
1/19には触れ合おうEnglish が開催予定です。
今後のスケジュールに関してはInstagramにてご確認ください。