おせちは作る派ですか?それともお気に入りのお店で購入ですか?
我が実家では、父が作るものと母が作るものと購入するものとをミックスしてお重につめて作っていました。
親が用意してくれるものという認識だったのと、なぜ食べるかなどは興味も薄くそれほど意識していなかったお節料理。
ですが、いざ自分が親になって「主人の母が作るおせち」を好き嫌いなく子供たちにも食べてもらおうとおもったとき、「なぜこれを食べるのか」「なぜおせちがあるのか」そういったことを伝えながら毎年1つは口にしてもらうようにしてきました。
そうすることで子供が納得して、好き嫌いではなく意味をもって食べてくれると思っていたからです。
今ではなんとか大体のものを口にはしてくれるようになったかなと思います。
今回はいくつかその意味をご紹介しますので、今年のおせちを食べてもらう時にはぜひ教えてあげてくださいね。
まず初めにあまり知られていない「お正月」の説明をしておきます。
そもそもお正月とは「歳神様」といわれる幸福を与えてくれる素敵な神様が来る日として神様をお迎えする行事の日が1月1日という日になります。
その神様にお迎えするためのお供物を備え「お正月」を迎える準備をし、神様をお迎えするこのタイミングで気持ちを新たに迎えたのが現代にも長く引き継がれている行事です。
「歳神様」とはご先祖様、農耕の神様、自然に宿る神々の集合体などいろいろいわれがありますが、いつの時代も食べ物が育つことが繁栄の礎ともいわれ、豊作を祈って幸運の神様をお迎えする習慣が長く引き継がれている思いなのだと考えられています。
■知っておくと食べてもいいかなと思えるおせちに入れるお料理の意味やいわれ
黒豆・・豆には「丈夫・健康」といった意味が含まれます。また「今年もまめに(ここでのまめは『元気』にという意味です)暮らせますように」という願いが込められています。
数の子・・・数の子はニシンの卵です。卵の数の多さから子孫繁栄を意味する縁起のいい食べ物です。子供にはちょっと食べにくい食材ですが、小さな卵をばらしてあげると食べやすいかもしれません。
栗きんとん・・・お子様大好き栗きんとん。きんとんは漢字で「金団」と書きます。金の財宝にたとえられます。豊かな1年になりますようにという願いを込められています。
昆布巻き・・・「よろこぶ」につながる縁起物の昆布です。喜びにあふれた一年になりますようにとの願いが込められています。
ごまめ・・・別名「田作り」とも云われます。材料はカタクチイワシの幼魚を干したものを「五万米(ごまめ)」と書くのですが、五穀豊穣を祈る食べ物です。小魚を田畑の肥料にしたことから別名が付いています。
エビ・・・おせちをより華やかにする海老。海老には長いひげを生やして腰が曲がるまで長生きするようにという意味が込められています。頭付きの海老をひらがなの「つ」のように仕上げるのが一般的です。
酢ゴボウ・・・ゴボウは細く長く、そしてしっかり土に根を張って育つことから長寿や健康を連想させる縁起のいい食べ物です。
酢れんこん・・・レンコンの穴を通して未来の見通しがきくという縁起を担いだ1品です。花のように切ればおせちも華やかになります。
伊達巻き・・・「伊達」とは華やかさ、派手という意味を表しています。華やかでしゃれた卵料理は子供たちもおいしく食べられ、その色や形からおせちに登場するようになったと聞きます。おいしい伊達巻はとてもしあわせな気持ちになります。
紅白なます・・・昔は生魚、大根、人参、酢を材料として作られていた「なます」。
大根と人参以外の食材は地域によって異なるので、それぞれの特色が見受けられるお料理です。色合いがお祝いの水引のように紅白であることから祝いの席で出されるようになりました。さらに、糖分と酢が一緒に取れる食材なので、年末の疲れがたまった時期に疲労回復効果が期待できる一品です。
他にも全国的にみると地域それぞれのいわれや、意味がある食材がたくさんあります。
もちろんアレルギーやまだ硬くて食べることが難しいといったこともあると思いますが、ほんの一口食べてもらうことで「伝統的な日本」を知ってもらう機会になるのではないでしょうか。
おせち料理の起源は古く弥生時代と言われていますが、「お節料理=正月料理」となったのは江戸時代後期に宮中行事が民衆にも広がっていったと言われています。
さらに一般的になっていったのは第二次世界大戦後といいますので、歴史としては長いのですが、「おせち料理」という言葉としてはまだまだほんの100年くらいのこと。
そして現代では、我が家のおせち料理以外にも、お取り寄せや百貨店、スーパー、コンビニですら豪華なおせちが自宅で気軽に楽しめます。
そんな時代だからこそ、ぜひ意味を知って食の大切さや、日本古来から受け継がれてきたものを知る機会にしていただければ嬉しいです。